
・仮想通貨のテクニカル分析は有効かを知りたい
こんな疑問が解決できる記事になっています。
価格に裏付けがない仮想通貨はファンダメンタル分析による判断がとくに難しく、テクニカル分析が大変重要です。
この記事では仮想通貨取引におけるテクニカル分析を初心者でもわかる形でまとめています。
記事を読み終えるころにはテクニカル分析のベース知識が身についているでしょう。
まずはテクニカル分析の概要から紹介していきます。
テクニカル分析とは
過去の値動きや出来高など、チャートにもとづく情報から価格を予測する分析方法です。
過去の値動きや特徴をもとに、未来の価格を予想するのです。
とくに3ヶ月以内などの短期トレードをする際は必須の分析方法です。
ファンダメンタルズ分析
経済の状況を示す基礎情報をもとに、その価値が割安か割高かを求める分析方法です。
企業(株)なら財務状況や業績状況をもとに株価が適正かを判断。
国家(おもに為替)なら経済成長率(GDP)、失業率(雇用統計)や物価上昇率などをもとに他国と比較してその価値を判断しています。
とくに長期トレードをする人はおさえたい分析方法です。
ファンダメンタル分析はファンダメンタルズ分析とも呼ばれます。
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テクニカル分析とファンダメンタルズ分析どっちが大事?
結論、どちらもとても大事です。
ファンダメンタルは長期的な目線(長期投資)、テクニカルは短期的な目線(短期投資)で有効になる傾向があります。
それぞれをおさえることでより値動きの見極めをしやすくなるでしょう。
強いていていえば仮想通貨の場合、ファンダメンタルによる判断がとくに難しいです。
市場規模が小さく、個人投資家が多くを占めることも加味すると、テクニカル分析はとくに有効だとCoinPlus編集部は考えます。
テクニカル分析の種類
テクニカル分析は過去の値動きや出来高などのデータを使う手法です。
チャート上にさまざまな種類のテクニカル指標を表示させて分析します。
テクニカル指標はトレンド系とオシレーター系の2種類があり、単独もしくは組み合わせて分析の精度を高めるのです。
そのほかに特徴的なチャートの形状から値動きを予測するフォーメーション分析があります。
トレンド系
市場の方向性(トレンド)を示すテクニカル指標です。
価格が上昇するトレンドなのか、下落するトレンドなのか、停滞中なのかをつかむために使います。
ここでは代表的な2種類を紹介しましょう。
移動平均線
移動平均線は一定期間の価格の終値の平均値を繋ぎ合わせた曲線グラフです。
たとえば期間が25日(25日移動平均線)なら、過去25日間の価格の終値の平均値を繋ぎ合わせたグラフになります。
移動平均線は価格の上昇が続くと右肩上がりになりますし、下落が続くと右肩下がりの傾向が見えます。
急激な上昇や下落が起こると異動平均線の傾きが急になるので、トレンドの強さも掴みやすいのです。
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移動平均線は仮想通貨に限らず多くのチャート分析で最も使う指標のひとつのため、詳しい活用法を後述しますね。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは移動平均線と標準偏差で構成される、移動平均線の上下にそれぞれ3本の値動きの幅を加えた指標。
価格がこの幅の帯(バンド)に収まるという統計を活かしたテクニカル指標です。
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オシレーター系
トレンド系が値動きの方向性を表すのに対し、オシレーター系は値動きの強さや過熱感など、変化の大きさや兆しを示すテクニカル指標です。
価格の上昇中か下落中かはトレンド系でわかりますが、トレンドが強すぎかや反転しそうか、などを見極めるのにはオシレーター系が役立ちます。
代表的な2つのオシレーター系のテクニカル指標を紹介します。
RSI
オシレーター系の代表格で相場の相対的な強弱の度合いを示します。
RSIは0~100%の値で表示されるテクニカル指標です。
50%が中立、値が大きくなると(70~80%が目安)買われすぎ、小さくなると(20~30%が目安)売られすぎの傾向が強くなります。
必ずしもそうなるわけではなく、あくまで目安です。
RSIは相場が反転しそうなタイミングを見極めるのに役立ちます。
ストキャスティクス
ストキャスティクスも相場の過熱感を知るのに有効なテクニカル指標です。
「%K」、「%D」の2本のラインを使ったファーストストキャスティクスと、「Slow%K」、「Slow%D」の2本のラインを使ったスローストキャスティクスがあります。
ファーストストキャスティクスはその名の通り素早く相場の動きに反応するので、スキャルピングやデイトレードなどの超短期売買をする人向けです。
ただファーストストキャスティクスはダマシも多いため、一般的にはスローストキャスティクスが使われます。
■スローストキャスティクスの見方
「Slow%D」が0~20%にある時は売られすぎで、買いチャンスを探るタイミング、逆に80~100%にある時は買われすぎで、売りチャンスを探る目安となります。
0~20%で「Slow%K」ラインが「Slow%D」を下から上に抜けるのをゴールデンクロスといい強い買いサインになります。
80~100%で「Slow%K」ラインが「Slow%D」を上から下に抜けるのをデッドクロスといい、強い売りサインになるのです。
フォーメーション分析
フォーメーション分析は過去に何度も形成された特徴的なチャートパターン(形状)から今後の価格を予想する分析手法です。
ある特定のチャート形状が見られたら高確率で値動きの上昇あるいは下落するというような、再現性の高い形状をもとにします。
ここではとくに代表的で投資家の多くが参考にしているチャート形状を紹介します。
ダブルトップ・ダブルボトム
上昇から下落、または下落から上昇へのトレンド転換を判断するのに有効なチャートパターンです。
チャートパターンの中でも出現頻度が高いです。
■ダブルトップ
ダブルトップは相場の天井を示すチャート形状です。
価格が高値をつけたあと下落し、再び上がる時に前回高値を超えれば高値更新で上昇トレンド継続と考えられます。
いっぱう前回高値で並ぶか届かずに反落した場合、山がふたつ並んだような形状になりますがこれをダブルトップといいます。
ダブルトップは上昇一服を意味し、形成後の下落で直近安値を割り込むと、下落優勢となる可能性が高く、損切りなどの決済ポイントです。
■ダブルボトム
ダブルボトムは、その真逆の考え方で底値が2回並んだ形で、谷がふたつできるケースですね。
ダブルトップ同様に2回目の底値を付けた後、反転上昇して直近高値を超えればトレンド転換の目安と見れます。
ヘッドアンドショルダーズ(三尊)
ダブルトップ・ダブルボトムよりも出現頻度が少ないですが、高い確率でトレンド転換するのがヘッドアンドショルダーズです。
下落トレンドへの転換を示すヘッドアンドショルダーズトップ(三尊)と、上昇トレンドへの転換を示すヘッドアンドショルダーズボトム(逆三尊)の2パターンがあります。
詳しくはこちらの記事で説明しています。
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テクニカル分析の基礎
ここではテクニカル分析の基礎的な指標となるローソク足とトレンドラインの見方になります。
ローソク足
一定期間の相場の4地点の値(始値、高値、安値、終値)を用いて作られた棒状の足です。
四角い胴体部分の両端が始値、終値を表し、その期間の高値が上に伸びた線の先端、安値が下に伸びた線の先端で表されます。
見た目がローソクに似ているのでこの名が付きました。
たとえば5分間の値動きを表したローソク足を5分足、1日の値動きを表したローソク足を日足といいます。
ローソク足が並んだチャートをローソク足チャートといいます。
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トレンドライン
トレンドラインはトレンドを見極めるために引く補助線で、支持線と抵抗線の2種類があります。
それぞれのラインの範囲内で値が推移しているときは、トレンド継続、ラインがこえられると、トレンド転換を意味します。
支持線(サポートライン)
チャートの安値を順につないで引いたラインで、これ以上下がりにくいとされます。
安値2点でも繋げますが、3点以上の点をつないで引くと信頼度が高くなります。
上昇トレンドでサポートラインを割らないあいだは上昇継続とみれますが、サポートラインを割ると下落相場への転換に注意すべきです。
抵抗線(レジスタンスライン)
チャートの高値を順につないで引いたラインで、これ以上上がりにくいとされます。
こちらも、3点以上の点をつないで引くと信頼度の高くなります。
下落トレンドでレジスタンスラインを超えないあいだは下落継続とみれますが、レジスタンスラインを超えると上昇相場への転換に注意すべきです。
トレンドラインの詳細はこちらの記事でもチェックできます。
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テクニカル分析に有効なツール
テクニカル分析はチャート上で行うのでソフトやアプリなどのツールを使うのが一般的です。
ここではCoinPlus編集部がとくにオススメの2つのツールを紹介します。
TradingView(トレーディングビュー)
TradingViewは無料で使える高機能チャートツール。
メインとなるローソク足に移動平均線を加えたり、ローソク足の下にRSIを表示させたり、自由にアレンジできます。
補助線としてチャート内に支持線や抵抗線を引くのもカンタンです。
仮想通貨取引所で表示するチャートとして取り入れられている場合も多く、メジャーなチャートツールであることがわかりますね。
仮想通貨以外にも株価や為替、米国債の利回り、ドルインデックス、金など多種多様な金融商品のチャートが表示できます。
仮想通貨と関連するほかの金融商品の値動きも素早くチェックできる強力なツールといえますね。
ビットレ君
GMOコインが展開する仮想通貨FX専用アプリのビットレ君は、さまざまな注文・取引だけでなくテクニカル分析にも最適なアプリです。
アプリ内でトレンド系、オシレーター系指標をカンタンに追加でき、補助線も引けるのでスマホでも十分テクニカル分析ができます。
CoinPlus編集部でも頻繁に使っています。
使い方の詳細はこちらのページでチェックしてくださいね。
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仮想通貨のテクニカル分析のやり方
ここからは過去のチャートをもとに、テクニカル分析のやり方を覚えていきましょう。
分析の基本となるローソク足と移動平均線からできる分析を紹介します。
トレンド(ローソク足)
トレンドは株価(仮想通貨の価格)の動く方向です。
価格は山(高値)と谷(安値)を形成しながら動きます。
この動きは主に上昇、下落、横ばいの3パターンあり、この3つのトレンドを見極めることがトレードで勝つポイントになります。
以下は2020年1月~3月のビットコインの日足チャートです。
(出典:みんなの仮想通貨)
安値が切り上げる上昇トレンド、上値が切り下がる下降トレンド、そのどちらでもない横ばいトレンドが見て取れるでしょう。
ゴールデンクロス・デッドクロス(移動平均線)
ゴールデンクロスは日数の短い移動平均線が日数の長い移動平均線を上回ったタイミングを示し、上昇トレンドの兆しだと予測できます。
デッドクロスはその逆で、日数の短い移動平均線が日数の長い移動平均線を下回ったタイミングを示し、下落トレンドの兆しだと予測できます。
以下は2020年1月~3月のビットコインの日足チャートです。
ゴールデンクロスをしたのちチャートは上昇傾向となり、デッドクロスをしたのちチャートが下落傾向となっているのがわかりますね。
オシレーター系(RSI)
ローソク足チャートの下段に表示されているのがRSIです。
復習になりますが、50%が中立、値が大きくなると(70~80%が目安)買われすぎ、小さくなると(20~30%が目安)売られすぎの傾向が強くなります。
3月13日に80万円から30万円ほどダウンする大暴落がありこのタイミングでRSIは20%を切りました。
かなり売られ過ぎの状態だとわかりますよね。
その後は価格は上昇に向かい、RSIも60%まで回復していることがわかります。
仮想通貨のテクニカル分析の注意点
テクニカル分析によるトレードはうまくいくと楽しくなり、さらに高度なやり方がないかを探求したくなります。
さまざまなテクニカル指標を学んだり試したりするのは、トレーダーとしてのレベルを上げるために必要なことです。
ただ指標が多くなりすぎると、逆に判断を迷ったり混乱を招いたりすることもあります。
試行錯誤は必要ですが、最終的には自分に合ったシンプルで使いやすいテクニカル分析を見つけ、トレードを極力シンプルにすることをお勧めします。
記事のまとめ
最後の仮想通貨のテクニカル分析のまとめです。
- 過去の値動きや出来高など、チャートにもとづく情報から価格を予測する分析方法
- テクニカル指標はトレンド系とオシレーター系の2種類がある
- トレンド系でメジャーなのは移動平均線やボリンジャーバンド
- オシレーター系でメジャーなのはRSIやストキャスティクス - テクニカル分析の基礎的な指標となるのはローソク足とトレンドライン
- ローソク足は一定期間の相場の4地点の値(始値、高値、安値、終値)を用いて作られた棒状の足
- トレンドラインはトレンドを見極めるために引く補助線で、支持線と抵抗線の2種類がある
仮想通貨はとくにテクニカル分析が重要です。
テクニカル分析の中でも基礎のパーツとなるローソク足、トレンド系指標の基礎となる移動平均線は必ず押さえましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。