仮想通貨は、アップデートによりその利便性をさらに高めます。
コインチェック事件の影響であまりよいイメージのないネム(XEM)。
実は機能面で優れている仮想通貨で、その機能をさらに向上させるカタパルトというアップデートを控えています。
NEMの技術の使用を促進するNEM財団は2019年3月、カタパルトに関するロードマップ(進行計画)を発表しており2019年中の実装に向けて動いていることが分かりました。
この記事ではカタパルトがどんな効果をもたらすのかを紹介します。
この記事でわかること
- ネムのカタパルトの特徴
- カタパルトが行われる時期
- ネムを購入できる取引所
コインプラス編集部では、ネムのカタパルトを前にネム(XEM)の現物を買ってみました。
「ネム(XRP)が買える取引所が今すぐ知りたい」という人は、「ネム(NEM/XEM)が購入できる取引所」をクリックすれば該当箇所に飛べますよ!
目次
ネム(XEM)はどんな仮想通貨?
ネムは「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称で、文字通り新しい経済圏の創出を目指して2015年3月に誕生した仮想通貨のプロジェクトです。(ネム公式サイト)
通貨の正式名称はネム(XEM)で、その知名度はコインチェック事件で大きく上がりました。
コインチェック事件
2018年1月に仮想通貨取引所のコインチェックがハッキングされ、当時約580億円相当のネムを流出させるという仮想通貨界史上最大レベルの事件が起こりました。
この事件がネムのイメージ悪化につながりましたが、原因は仮想通貨の管理体制にあり、ネム自体に原因はありません。




ネムについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
尚、事件後、コインチェックは東証一部上場のマネックスグループに買収されています。
信頼性向上に努めたことで、金融庁に認可された取引所となりました。
ネム(NEM)のカタパルトとは『ネムの大型アップデート』のこと
カタパルトは航空母艦から航空機を射出するための機械、宇宙船やロケットなどの射出機を意味します。
一方でネムのカタパルトとは、ネムを大幅にアップデートするプロジェクトを意味します。






ネムのカタパルトは2018年中に実装予定とされていましたが、2018年に具体的な動きはありませんでした。
しかし2019年3月、NEM財団によりあらたなロードマップの発表があり、カタパルトは2019年中に実装される予定です。
ロードマップと展望がまとめられた資料には以下の記載があります。
カタパルトとは?
NEMの次世代コアエンジンがカタパルトです。
数あるブロックチェーンの中でも、あらゆるビジネスデータを取り扱える実用性とセキュリティを備えた最も使い勝手の良いブロックチェーンになります。
数多くの処理速度とスケーラビリティ向上の為の機能強化に加え、カタパルトは非中央集権型のブロックチェーンではこれまで無かった新機能を搭載します。
(出典:NEM.io財団によるカタパルトのロードマップと展望)
以下が具体的なロードマップです。
- 2019年Q3(7〜9月):カタパルトのテストネット公開
- 2019年Q3後半〜Q4初期:カタパルトのメインネットでの公開
- 2019年Q4(10〜12月)カタパルトのローンチ後:STOトークンのコンプライアンスやクロスチェーン・アプリケーションのサポート、投票センター、カタパルト・アカデミー教育プログラム等
- 2020年以降:IoTを実現する機能、ライトニングネットワークへの対応、ステーブルコインの発行等
(出典:CoinPost)
今後実装されれば、ネムの機能と利便性が大幅に向上します。
なお、イーサリアム(ETH)は2019年3月1日にハードフォークを伴う大型アップデートが完了しています。
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【イーサリアムは未完成?】4つのアップデートを簡単解説
すでに人気のある仮想通貨ですが、イーサリアムはまだ完全なものではありません。最初の登場から4つのアップデートを経て、イーサリアムは完成します。
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ネム(NEM)のカタパルトの特徴
カタパルトが実装されることによる、具体的な機能向上のポイントを3つご紹介します。
処理速度の向上
最もインパクトのある変化は処理速度です。
カタパルト後のネムとその他の主要通貨において、1秒当たりのトランザクション(取引)の処理速度を比較しました。
- ビットコイン(BTC): 7件/秒
- イーサリアム (ETH):15件/秒
- リップル (XRP):1,000件/秒
- ネム(NEM):4,000件/秒
処理速度の速さで有名なリップル(XRP)をも大幅に上回り、そのインパクトが分かります。
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リップルとXRPの違い、分かりますか?リップルの超基礎を学ぶ
リップルはアメリカのRipple, Inc.(リップル社)が開発した国際送金に特化したプラットフォームです。リップルが持つグローバル送金ネットワークを活かして、国際送金がより便利になる仕組みです。
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なお、毎秒4,000件は世界一のユーザー数を誇るクレジット会社VISAの処理速度に匹敵し、実用性の面でも期待できる速度です。
マルチレベルマルチシグ
マルチレベルマルチシグは、セキュリティレベルを大幅に上げます。
マルチシグ(マルチシグネチャ)は、送金のために(3人中2人など)複数の署名が必要な仕組みです。
単一の署名で送金できる場合と比較して、ハッキングや不正利用の発生を大幅に減らせます。
このマルチシグを複数の階層で実行するのがマルチレベルマルチシグです。
上述した3人中2人で承認された署名を1階層目とすると、それに加えて別の人が承認を要するケースです。
マルチレベルマルチシグ
1階層目:3名中2名の署名で承認(→Aとする)
2階層目:Aに加えてもう1名の承認(→Bとする)
3階層目:Bに加えてもう1名の承認(→Cとする)
→3階層すべてを満たして承認される。
このように連なることでマルチシグと比較して、セキュリティレベルがさらに向上する仕組みです。
アグリゲートトランザクション
アグリゲートトランザクションは、複数のトランザクションをまとめて処理できる仕組みです。
上述したマルチシグの例でみると1階層で複数のトランザクションがあった場合、それぞれの結果が出ると即座に承認判断をして2階層目に上げるイメージです。
これも処理速度アップに大きく寄与しました。
アグリゲーショントランザクション(NEM developer center)



2019年5月「ネームスペース」と「モザイク機能」のアップデートも発表
2019年5月には「ネームスペース」と「モザイク機能」においてあらたなアップデートの発表がありました。
NEMのカタパルトにおける「ネームスペース」と「モザイク機能」がアップデートされることが、公式発表された。(出典:CoinPost)
それぞれの用語の意味も確認しましょう。
ネームスペース/モザイク
・ネームスペース
インターネットに例えるとドメインのようなものです。名前を付けたネームスペースを作ることでNEMのプラットフォーム上に独自のトークンが作れます。
・モザイク
インターネットに例えるとコンテンツ(画像、テキストなど)のようなものです。ネームスペース上に作れる独自のトークンをモザイクと言います。
カタパルトによりそれぞれ以下のような登録方法の変更が予定されています。
ネームスペース登録
これまでは、ネームスペースの登録はアカウントにリンクされ、1年間契約のみの提供となっていた。
契約期間が終わると、ネームスペースのオーナー(登録者)は1ヶ月以内に契約更新を行わない限り、当ネームスペースで作成されたモザイクは期限が切れて削除される仕組みであったが、この問題が解消される。モザイクの登録
これまでは、モザイクを登録する際には、ネームスペースと共に登録することが必要であった。
カタパルトの新機能では、モザイクの登録にネームスペースの必要がなくなり、ランダムの文字列により識別子される様になる。
また、カタパルトではモザイクがネームスペースと紐付かない事により、モザイクのみの無期限の契約が導入される。
カタパルトの新機能で「Aliases(エイリアス)」が導入されるとしている。エイリアスは、ネームスペースに紐付くアカウント、またはモザイクの名称を指すものである。(出典:CoinPost)
mijinのカタパルト
mijin(ミジン)とは
mijin(ミジン)はテックビューロホールディングスによって開発されたプライベートブロックチェーンで、ネムのブロックチェーンが利用されています。
プライベートブロックチェーンは、金融決済、ID認証、ポイント管理など企業が持つサービスに適応でき、それぞれの情報を台帳に記録して管理することができます。
mijinにはネムの開発に2年以上携わっていた実績がある開発チームがあるため、ネムの技術と密接なつながりがあります。



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ブロックチェーン(blockchain/分散型台帳技術)とは?仮想通貨を支えるシステムの秘密
ブロックチェーンは、2009年にサトシナカモトが仮想通貨の起源であるビットコインを支える技術として発表されました。仮想通貨が通貨として機能し、サービスを動かしていくことを支える技術として非常に注目されています。
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mijinのアップデート履歴
mijinは2015年にリリースされ、2016年にアップデートされカタパルトが実装されました。
- 2015年9月:mijin v.1を発表
- 2016年5月:新型コアエンジン mijin v.2(カタパルト) を発表
このカタパルトによって上述した、マルチレベマルチシグ、アグリゲートトランザクションの機能が追加されています。
mijin v.2(カタパルト)の紹介動画も公開しています。
mijinは2018年5月、オープンソース化を実現。
さらに2019年6月、オープンソースとエンタープライズ・ライセンスのデュアルライセンス提供を開始しています。
ネムのカタパルトに向けたプログラムや支援団体
カタパルトのサービスプロバイダー
NEM財団は2019年4月、カタパルトに関する新たなサービスプロバイダープログラムを発表しました。
ネムサービスプロバイダはNEM.io財団と事業パートナー契約を締結する外部の企業を指す。NEM.io財団から資金と該当プロジェクトのタスクを受け、サービスとプロダクトを開発、財団へ提供するプログラムの一環としてパートナー契約を締結する。(出典:CoinPost)
NEM財団が発表した提案タスクは、ネムのアプリウォレット「Catapult Mobile Wallet」関連のプロジェクト。
「Bonfire Portal」がプログラム初の参加企業として加わることになりました。
ネムスタジオ
2019年6月21日、NEMホールディングスとNEM財団が共同で「ネムスタジオ」を発表しました。
NEMの次世代バージョン「カタパルト」のバックエンド支援団体として、「ネムスタジオ」の立ち上げが発表された。
仮想通貨XEMにも関わるカタパルト開発の最終段階に向けた極めて重要な事業だという。(出典:CoinPost)
ネムスタジオの役割は以下とされている。
- 高速かつ拡張性を持つブロックチェーンソリューションの実現を支援
- カタパルト・コアに携わるCTOと開発チームの募集
ネムスタジオとNEM財団が主導で、NEM2の中核となるカタパルトはコアのNEMエンジンとして、パブリックおよびプライベートブロックチェーンの促進を行う。
なお、コアのNEMエンジン利用事例としては、デジタル資産の生成・非中央集権スワップ・高度な口座システム・ブジネスロジックモデリングなどが挙げられているという。NEM財団とネムスタジオの関係性において、ネムスタジオはNEM財団が導入した「サービスプロバイダー形式」を通して契約の連携で事業を進めるようだ。






ネムのカタパルトを実装するのはいつ?
前述のとおり、カタパルトの実装は2019年中と伝えられています。
ネムにカタパルトを実装するのは2019年の第3四半期~第4四半期頃の予定です。
ネム(NEM/XEM)が購入できる取引所
ネム(XEM)を取り扱う取引所はコインチェック(Coincheck)とDMM Bitcoin(DMMビットコイン)です。
Zaifもネム(XEM)取り扱いますが、2018年9月にハッキング事件を起こしていることもあり、2019年7月現在新規登録を受け付けていません。
日本の取引所ならコインチェック(Coincheck)がオススメ
2019年1月11日に正式に仮想通貨交換業者となったコインチェック(Coincheck)は国内で唯一、ネムの現物を取り扱う取引所です。
東証一部上場のマネックスグループ傘下となった同社は、老舗ネット証券のノウハウを活かし、セキュリティなどのサービス強化を図っています。
以下はコインチェック社が2019年7月18日に公開した取引金額と取引人数のランキングです。
出典:コインチェック
いずれもビットコイン(BTC)やリップル(XRP)に次いで3位にネム(XEM)がランクインしていて、人気の仮想通貨であることがわかります。
また、特に好評なのは使いやすいアプリです。
アプリで通貨の購入や売却が簡単にできるので初心者にもオススメです。
口座開設や詳細についてはCoincheck公式サイトでチェックしてみてください。
【オススメはバイナンス】ネム(XEM)を海外取引所で購入する
もし取引所形式で割安にネム(XEM)を購入したければ、海外取引所も視野に入れましょう。
海外の取引所で購入する場合、以下の2ステップでの購入が必要になります。
1.国内の取引所でビットコイン(イーサリアム)を購入する
2.購入したビットコイン(イーサリアム)を海外の取引所に送金し、ネム(XEM)を購入する
ネムを購入する海外取引所は、取引手数料が安いバイナンスがオススメです。
海外取引所の手数料は0.15~0.25%が多いですが、バイナンスの手数料は全通貨共通で0.1%です。
バイナンスは100種類以上の通貨を扱う、取引高が世界でトップクラスの取引所で日本人にも人気があります。
もともと日本語で日本向けの展開もしていましたが、金融庁の規制により現在は日本向けにはサービス展開していません。(英語での使用はできます)
送金用のビットコインを買うならGMOコイン
バイナンスでネム(XEM)の取引をするには、ビットコイン(またはイーサリアム)が必要になります。
ビットコインを買う取引所は上述のコインチェックやDMM Bitcoinでもよいですが、編集部がオススメしたいのはGMOコインです。
その理由に取引コストと信頼性が挙げられ、最もバランスの取れた取引所と言えます。
取引コスト:入出金手数料が無料、取引手数料が多くて0.01%のため取引コストがほぼかからない、取引所形式で取り扱いがあり安く買える
信頼性:金融事業も行う東証1部上場企業のGMOインターネットグループが運営するため、取引所運営のノウハウが充実している
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ネムのカタパルトまとめ
- カタパルトは射出機という意味
- カタパルトは仮想通貨ネムで予定されているアップデート
- 実装されると処理速度やセキュリティが大幅に向上する
- ネムと密接な関係のあるmijinでは、2016年5月にmijin v.2(カタパルト)として実装済み
- ネムでの実装は2018年中とされているが、2018年12月現在未定
いかがでしょうか。
ネムのカタパルトが実装されれば、その価値の向上から価格への影響も考えられそうですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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